2. ブリスベンの思い出

 9月3日午後、約束通りヌーメアから8日目にブリスベン沖に着き、モロトン湾を通り抜けてブリスベン川を約4マイルさか上り、目的地のリバーゲート・マリーナに到着しました。マリーナの桟橋には橋本さんが既に待ってくれていました。私がニュージランドから日本へ一時帰国した時に会ってから約9ヶ月ぶりの橋本さんとの再会でした。事前にメールで連絡していたとは言え、初めての寄港地に知っている人が待っていてくれることほど心強いものはありません。また、リバーゲート・マリーナは川の岸にあって桟橋付近もかなり水の流れがあり、ぽれーるを一人で狭い桟橋の間につける係留作業はたいへん苦労するところでしたが、橋本さんのサポートもあり何とか無事係留することができました。

 橋本さんとの再会を祝したいところですが、先は、マリーナ・オフィスへの係留手続と入国手続を実施しなければりません。幸い、オーストラリアへの入国に際しては到着の96時間前までにカスタムへ申請しておかなければならず、既にメールでその作業は終わっていて、予定通りの到着であったため、カスタム、イミグレーション、クオランティの係官がほどなくぽれーるにやって来ました。オーストラリアへの入国はたいへん厳しいチェックを受けると聞いていましたが、実際には和やかな雰囲気の中でほとんどチェックも受けず手続は終わりました。

 早速、マリーナ事務所とぽれーるの修理について調整し、ステイスル・ワイヤーの交換を依頼しました。リバーゲート・マリーナは最近つくられたマリーナらしく、修理施設は真新しくメガヨットも上架されていましたが、全ての施設や修理ショップはまだ整っていないようでした。

 翌日、橋本さんとタクシーで近郊のスーパーマーケットへ出かけ新鮮な野菜やお酒、ワインを買込み、橋本さんのおいしい手料理をいただくことができました。また、その次の日にはブリスベン市内へ出かけ、久しぶりに大都会の雰囲気を味わうことが出来ました。リバーゲート・マリーナからブリスベン市内はタクシーで約40ドルもかかり高いため、次回の市内へ出かける時のために安価なバス路線や鉄道便を調査し苦労して乗継ぎ等のバス路線が分りましたが、結局、マリーナにいる間には2度目の市内へ出かけることはありませんでした。

 マリーナを散策している時、フィジーのマロロ・ライライ島で出会ったヨット「YAWARRA(ヤワラ)」が係留されているのを見つけ、後刻、マリーナ内で「YAWARRA」のニコルとジェーンに再会することができました。彼等はこのリバーゲート・マリーナがホームポートとなっており、橋本さんがちょうどマリーナ内で知合ったジョンから焼肉パーティーに招待されて行ってみるとニコルとジェーンも来ており、クルージングの思い出やグレートバリアリーフのクルーズの楽しみ方、ヨットの修理に関する情報などの話が聞けました。

 ジョンはぽれーるのオートパイロット油圧タンクからの作動油漏れ不具合の修理に彼の車を使って走り回り惜しみない援助をしてくれました。ジョン曰く「ヨットマンは困った時は互い様、助け合うのが当り前」初めて訪れた街で親切なヨットマンに出会えたことに心から感謝しました。

 12日間リバーゲート・マリーナに停泊し、ステイスル・ワイヤーの交換とオートパイロットの油漏れ不具合修理等が終ったころで、ブリスベンを出港しウィットサンデーへ向うことにしました。