長距離航海における電気設備

長距離航海における電気設備

文/小谷武福
イラスト/指谷忠雄
出典/ 舵 1997 5月号
連載特集 長距離航海

バッテリーがあがって、エンジンのスタータが回らなかった経験はないだろうか。
ハーバー内なら何とかなるが、外洋の真ん中で起きたら一大事。
航海灯はつかない、気象ファクスや短波ラジオは受信できない、レーダーも動かないなど、
航海計器のほとんどが使えなくなる。特にシングルハンド航海で、
ウインドベーン(電気不要)を持たずオートパイロットのみで航海したりすると
睡眠時間が十分とれなくなったり、リーフ作業が不安定になったり、という状態に陥ってしまう。
なぜバッテリーが思ったより早くなくなったり、使えなくなったりしてしまうのか?
それは、バッテリーの使い方を十分に理解していないという、単純な理由によるところが大きいといわれている。
今回は、30年間にわたって故多田雄幸氏とともに(オケラ)の自作建造、
BOCチャレンジ単独世界一周レースのサポートに携わり、
最近では白石鉱次郎氏の(スプリット・オブ・ユーコー)の電気・無線・エンジン設備を担当した小谷武福氏に、
ヨットの電装に関する基礎的知識から、世界一周レースのようなハードな航海にも耐えうる実践的な装備の工夫
までを解説していただいた。
目 次